口座開設申請数が急激に増えた時に対応したこと

この記事はコインチェック株式会社(以下、コインチェック)のアドベントカレンダー5日目の記事です。

コインチェック Advent Calendar 2024

コインチェックの開発・人事本部カスタマーエクスペリエンス部というところに所属している衛藤です。

5日目の記事は、私が所属するカスタマーエクスペリエンス部の内容となります。

この記事では、カスタマーエクスペリエンス部のKYCグループ(口座開設を関する業務を行うグループ。KYCはKnow Your Customerの略となります。)の具体的な取り組みを紹介し、増加する口座開設申請に対する対応策を解説します。

 

ここ最近はビットコインなど暗号資産価格上昇していることやアメリカ大統領選挙で暗号資産の話題が出ていることから、お客様の暗号資産への関心が増えているのかと思います。

そんな中でコインチェックで暗号資産を試してみようというお客様も普段よりも増えているという実感を口座開設申請の多さで感じています。現状は想定以上に口座開設申請数が増えておりまして、どのような対応を行っているのかを書いていこうと思います。

口座開設申請数が増えている背景

下の画像はコインチェックのトレードビューで、ビットコインと日本円の価格が表示されているものとなります。

アメリカ大統領選挙の開票速報が11月6日に発表されるとビットコインの価格が上昇し始めました。価格上昇に伴い、お客様の口座開設申請数も増えてきました。11月11日には価格が更に上昇し、この日を起点にして更に口座開設数も増えていました。

価格が急上昇すると口座開設申請を対応しているKYCグループで対応可能な件数を超える状態となると、口座開設を待っているお客様に迷惑をおかけしてしまうので、対応するスタッフ数を増員する必要があります。

口座開設申請数が増えた時に行ったこと

社員や派遣スタッフの頑張りである程度堪えられたところもあるのですが、それ以上に急激に件数が積み重なるので派遣スタッフの増員依頼を行いました。ただ、すぐに増員できるわけではないため派遣スタッフが増員されるまでの間はなんとかする必要があります。

コインチェックでは私が入社する以前からのカルチャー的なもので、社員がヘルプに入るというものがありまして今回もこの対応を行うようになりました。

少し時間軸を過去の話をします。

今年は3月上旬にもビットコインの価格上昇がありました。昨年末くらいから今年の4月にかけてシステムやオペレーション改善、派遣スタッフ増員や社員ヘルプを行いお客様をお待たせする時間が短くすることが出来ました。社員ヘルプ対応頂いた皆様に本当に感謝しています。

11月の話に戻します。

ビットコイン価格上昇するまでは3月までに体制だと対応可能な口座開設数以上にスタッフを抱えてしまうことになるため、体制を維持せず契約終了のタイミングで調整を行っていました。11月11日の価格上昇に伴って再度スタッフを募集する必要があります。暗号資産は価格が急上昇やその逆もあるのと、派遣スタッフの増員までは最短でも数週間は見込む必要があるため難しいところです。

増員までにやってきたことを書いていきます。

1.社員ヘルプ用の席にPCとモニターを設置

これが無いと始まりません。

研修用として意図的に空けていた席があったのでそこに設置しました。

2.社員ヘルプ研修用マニュアルの作成

口座開設業務ではお客様の情報を取り扱うため研修は欠かせません。とはいえ社員や派遣スタッフと同等の研修を行うと、覚えないといけないことが多くなるため最低限の対応条件に絞って研修を行えるマニュアルとなりました。

3月の時の研修だと午前中は座学、午後は30問の試験を行い問題がない場合は独り立ちしていたのですが、今回の研修は30分の座学と10問の試験と簡略化しました。

3.社員ヘルプを募集

Slackの社員ヘルプ用チャンネルにて社員ヘルプを募集しました。社員ヘルプを募集した当初は10数名挙手をして頂き、今は40名近くまで本人確認対応を行っていただきました。

増員や社員ヘルプ研修を行った結果、口座開設が完了する件数が増えてお客様を待たせる時間が短く出来るようになりました。

ここからは反省点が多い部分となります。

反省点と改善案

大きく3つの反省点を上げていきます。

1.前回のヘルプから次の訓練が出来ていなかった

反省点としてはまず挙げられることは、今年の3月上旬に急激に口座開設数が増えた時に社員ヘルプを行ったのですが、これ以降に社内ヘルプの体制が整えられていなかったことです。平時において定期的に研修を行うと今回のような価格上昇時に対する口座開設数急増に耐えられる組織ができていたと思います。

【改善案】

社員ヘルプがいつでも可能になるように、社内研修を定期的に行っていきたいと思います。法律やガイドラインが変わる都度行う必要もあります。入社研修に含めるというのもあります。

2.社員ヘルプの募集のやり方が良くない

Slackのチャンネルで@channelで通知を何回も送った結果、途中から反応が薄くなったという実感があります。初めは意識してくれるのですが広く募集すると「他の方がやるヘルプやるから良いや」という心理が働くのかなと思います。

また、募集する時の情報量が乏しく通知をもらった人も判断がつきづらいと思うので、何故やるのか、いつまでにやるのか、何をやるのか、どのくらいの優先度でやるのかといった判断軸が無くただ「お時間があったら助けてください!」みたいな通知をしていたところです。パッと文章を見て判断がつかないと人の心は動かないと思いました。

【改善案】

社員ヘルプ研修が全員終わったら、今度はヘルプを求めるための基準を明確にして全社的に説明できる必要があります。社員が見るダッシュボードを見て、ある程度の閾値を超えたらみんなで頑張っていこう!みたいなものがあると良いですね。

3.社員ヘルプに参加した方が資料をどこを見ると良いのか分からない

急遽募集をする必要があったので過去の社員ヘルプの資料をそのまま流用したのですが、ファイルを開くと大量に情報があり何をすべきかわからなくなってしまっていると思います。資料は人の理解や判断を仰ぐものなので複雑だと混乱するのでシンプルに変更する必要があります。

【改善案】

私が入社当時と比べるとだいぶシステムは良くなっていると思いますが、目視による判断を少なくするとか、着座した方のスキルに応じて難易度の高そうなものをシステム側で担当者毎に振り分ける等も行いたいです。過去もやろうとしていたのですが、なかなか優先順位が上がらず出来ていませんでした。

最終的には着座して管理画面にログインしたら誰でも5分以内に口座開設対応が出来るようになるところを目指したいです。

3つほど書いたのですが、細かいものとかも上げるときりが無いので一旦この辺りで終わりにします。

まとめ

今回の記事ではコインチェックの口座開設における社員ヘルプの内容をご紹介しました。あまり詳細に書くのは難しいところではあるのですが、社内の空気が少しでも伝わると嬉しいです。

少しでも多くのお客様に暗号資産の世界を体験して頂けるよう、口座開設の処理件数を上げて行けるよう社員一丸となって頑張っていこうと思います。

今後もお客様に快適なサービスを提供し続けるために、さらなる改善に取り組んでまいります。お客様のご愛顧に心より感謝申し上げます。